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包丁の選び方:形・形状から考える(三徳包丁・牛刀包丁)

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数回にわたって、包丁を選ぶ際のポイントをまとめてみようと始めたこの企画。前回は鋼材について書きましたが、今回は包丁の形と長さについて、特に三徳包丁と牛刀の違いを話したいと思います。
【前回記事】包丁の鋼材(ハガネ/鋼・ステンレス等)について - kotaro7247’s blog

 

牛刀包丁と三徳包丁の歴史的な背景:

もともと日本では、和包丁が使われていました。和包丁の特徴を一言で言うと、『各食材特化型』です。野菜を切るための薄刃包丁、魚をさばくための出刃包丁、そして魚を切り分けるための刺身包丁(柳刃包丁・蛸引包丁)が有名ですが、それ以外にもたくさんの包丁があるようです。

これに対して、三徳包丁や牛刀は、いわゆる万能包丁です。どちらの包丁も基本的なことはなんでもできます。幕末に欧米列強が日本に訪れてから、日本に西洋文化が入ってきますが、この流れの中で欧米でシェフ・ナイフと呼ばれる牛刀が日本に入ってきました(写真下の包丁)。牛刀は一本で何でもできる便利さがあり、これを日本風にアレンジしたのが三徳包丁になります(写真上の包丁)。

 

f:id:kotaro7247:20201018105044j:plain※ 写真上: 愛用の三徳包丁(刃渡り約18.5cm)。
※ 写真下: 愛用の牛刀包丁/シェフ・ナイフ(刃渡り約21cm)。

 

刃幅の違いについて:

刃幅とは、刀身の背から刃がついている広い部分の幅のことです。

結論から言うと、牛刀の刃幅は短めで、三徳包丁の方が広めに作られています。私の使っている三徳包丁は、一般的な三徳包丁より牛刀に近い形をしていますが、それでも牛刀より幅が広いのが上の写真からわかると思います。

厚みのある野菜などを切ろうとするとき、牛刀は刃幅が狭いため、食材を切る際に包丁が完全に食材の中に埋もれてしまいやすいという特徴があります。野菜を切るために作られている薄刃包丁や菜切包丁の刃幅が広いのは、これを防ぐためにあります。普段包丁を使っている方はわかると思うのですが、包丁が食材の中に完全に隠れてしまうと、添えてある左手の第二関節辺りに包丁を常に当てておくことできないため、慎重に切らざるをえなくなってしまう、切るのが遅くなってしまう、というデメリットがあります。

これに対し、三徳包丁は広くつくられているため、厚みのある食材を切る際には牛刀と比べて切りやすく感じます。

 

刃渡り(長さ)の違いについて:

牛刀は刃先から刃の根本までの長さ(刃渡り)が、約20~24cmの物が一般的です(もっと長いのもありますし、短くなるとペティナイフになります)。これに対し三徳包丁は少し短く、18cm前後の物が主流です。

牛刀は三徳包丁と比べて長い分、大きな食材を切るの際はとても楽です。逆に、三徳包丁は大きな食材を切る際には使いにくさを感じるというデメリットがあります。

また牛刀は、その長い刃を生かして柔らかいものを優しく、あるいは薄く切ることが比較的得意です。刃元を食材に当て、長い刃をスライドさせながら削ぐようにして着る、引き切りという切り方です。例えばローストビーフや焼き豚を薄く切る場合や、お刺身を切る際にこの切り方で切るとうまく切れます。

さらにこの長さの違いは、以下で説明する刃の形状の違いからきていると私は考察しています。

 

刃元から刃先にかけた形状の違いについて:

刃元から刃先にかけた形状が違うことが、私個人的にはこの二つの包丁の最も大きな違いだと感じています。

まず牛刀は、刃元から刃先にかけて刃が大きく湾曲しています。したがって、まな板に刃を当てた時に点で触れるようなイメージになります(以下写真上段が牛刀包丁)。

これに対し三徳包丁は、刃元は直線に近く刃先にかけて緩く湾曲していきます。まな板に当てると、刃元はまな板にくっつくイメージです(以下写真下段が三徳包丁)。

 

<牛刀包丁>

f:id:kotaro7247:20201018111044j:plain

<三徳包丁>

f:id:kotaro7247:20201018111109j:plain


実際に使うときに、この違いがどのように現れるかと言うと、例えばキャベツの千切りをする際に、三徳包丁で切る場合は刃元で切ればきれいに千切りができます。これに対し、上から押し付けるような切り方で牛刀を使うと、まな板と当たる部分が点になっているため、まな板に近いキャベツの葉は綺麗に切れずつながってしまうのです。よって牛刀を使う場合は、前または後ろに、少しスライドさせながら切る必要があります。

これだけを聞くと「牛刀は使いにくいのでは?」と感じるかもしれませんが、もちろん三徳包丁も刃先は湾曲しているので、大きな食材を切る場合にはスライドさせなければいけません。スライドさせること考えると、牛刀包丁は三徳包丁より長く作られているため、使いやすくなります。

 

日本のキッチン事情から考えないといけないこと:

日本の家はどうしても狭いので、まな板も大きなものを置けません。まな板の前後の長さ以上に長い包丁では、せっかくの長い刃も使いきれませんし、また取り回しがどうしても邪魔になるのでおすすめできません。

私の家のまな板は前後の長さが約24cmでしたので、24cmの牛刀は使いづらくなってしまうと考え、21cmのものを使っています。

三徳包丁の長さが18cm前後になっていて、かつ前または後にスライドさせながら切らなくても良いように作られているのは、日本の狭いキッチン事業があるからかもしれません。

 

結論:

特徴をまとめると以下の通りと考えます。

大きなものを切るのが得意な牛刀包丁と、厚みのあるものを切るのが得意な三徳包丁

長い刃の長さを生かして薄く優しく切ることが得意な牛刀と、上から押し付けるようにも切れ狭いところで取り回しが便利な三徳包丁

基本的には、どちらを買っても万能包丁としての役名を全うできる使いやすい包丁です。どちらの形状にも、長年培われてきた歴史や知恵が詰まっていると思います。

私は「将来もう少し広いキッチンで料理したいなぁ」なんて、叶うかどうかもわからない夢を描きつつ、21cmの牛刀にしました。みなさんはどちらの包丁にしますか?

 

つづく

 

関連記事:

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