応用できる味見の考え方①
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妻を笑顔にするための、多忙なビジネスマンの手料理日記。
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まえがき・背景
前回は『応用できる調味料の考え方・使い方』について記事を書きました。今回は、前回に続いて、『応用のできる味見(あじみ)の考え方』について書いてみようと思います。
※ 前回記事もぜひ併せて読んでいただけると幸いです。
レシピを見ながら作っても、うまく作れなかった経験、味付けが自分の好みにならなかった経験は、誰にでもあると思います。特に、インターネットでレシピを検索する時代です。レシピの書き手がどの程度料理の上手な方かもわからないまま、レシピを調べ、なんとなく作りやすそうで、おいしそうなレシピを選んで作っている中、自分にあった味付けを見つけるのも一苦労です。
特に、最近流行っている圧力鍋や、電気圧力鍋、電気自動調理器の類を使ったことのある方なら、作り終わるまで味見ができないため、最後に味見したとき、「なんか物足りないなぁ」、あるいは「なんかしょっぱいなぁ」と感じた方も多いと思います。
前回の記事では、5つの味覚(①甘味、②塩味、③酸味、④苦味、⑤旨味)に対応させる形で、調味料を分類してみましたが、今回はこの5つの味覚ごとの特性も踏まえて、どうやって味見をするのか、そして味見をしたうえでどうやって味を調えていくのかについて、料理の初心者でもわかりやすく言語化し、考え方を整理してみたいと思います。
味見で考えるべき優先順位
人間の味覚は①塩味、②甘味、③酸味、④苦味、⑤旨味、と書きましたが、味見のとき、どの味覚に注目して味見をしていますでしょうか?
私のおすすめは、以下の順です。
- 塩味
- 旨味
- 酸味
- 甘味
- 苦味
順番に理由を説明したいと思います。
『塩味』を考える
まず塩味です。塩というのは「塩化ナトリウム(NaCl)」と呼ばれるものが主成分で、細胞内外のミネラルや水分のバランスを保つために必要不可欠な元素です。少なすぎても多すぎても、ミネラルと水分のバランスが保てなくなってしまいます。塩辛いものを食べたあと、水を飲みたくなるのはこの調整を行おうとする働きです。逆に、薄味のものを食べると、しょっぱさが足りず味気ないと感じるのも、これが理由です。つまり、人間にとって「ちょうどよい」「美味しい」と感じる幅がもっとも狭いのが、塩味なのです。
なので、味見をするときはまず、塩味がこの幅の中にあるかどうかを考えます。「味気ないなぁ」と感じる際、いろいろな種類の調味料を足してしまいがちですが、実際には塩を少し足してあげると、味が引き締まって美味しく感じることが多いのも、おいしいと感じる塩加減の幅まで、塩分が足されたことが理由です。
逆に、一度入れてしまった塩分を取り除くのは至難の業です。水などを足してあげることもできますが、他の味覚(旨味や酸味など)のバランスが崩れやすいため、なかなか調整が難しいです。よって、塩分は最初少なめに、そして少しずつ足してあげるのがおすすめです。
『旨味』を考える
塩味が決まったら、次は旨味です。旨味には、ダシが最も重要となります。念のため旨味成分(ダシの成分)を科学的に捉えると、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などの成分がいわゆる旨味の成分として挙げられます。グルタミン酸はたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の中の一つで、イノシン酸、グアニル酸は核酸に分類されるそうです。
ダシの詳しいことについては、いつか別の記事で触れるとして、今回は「味見をする際に、旨味をどう考えるか」について記載しようと思います。
味見をしたとき、「なんだかコクが足りないんだよなぁ」と感じたときで、塩味が原因である場合も多いのですが、旨味が足りていない可能性を疑う必要があります。
私が小学生(たぶん高学年)だったころの、夏休みのある日、母が家を留守にしていたため家で一人留守番をしていたことがありました。その時お腹がすいた私は、見よう見まねで一人でうどんを作ってみることにしたのです。うどんを茹でて、前に母と一緒に作った記憶から、醤油、みりん、砂糖をいれたのですが、ぜんぜん美味しくできず、どんどんこの3つの調味料を足していきました。しかし、いくら足しても前に母と一緒に作ったあの美味しいうどんの味にならないのです。仕方なくその日は作ってみた不味いうどんを食べたのですが、母が帰宅後この話しをすると大笑いされ、「『ダシの素』をいれないからだよ」と言われたことをすごくよく覚えています。試しにと、母が同じく醤油、砂糖、みりん、そしてダシの素という魔法の粉で、スープをさっと作ってくれて、そのスープを飲んだ私は「なんてすごい粉なんだ!」とびっくりした記憶があります。
なので、料理の最後に「なんかコクがないなぁ」と思ったときは、ダシの素、あるいは液体の白だしなどを入れると、味が整います。なんで私がダシの素や白だしをお勧めするかというと、ダシというのは昆布や鰹節などから、料理のはじめの方で取ることが多く、味見を実際にする料理の最後の段階で、旨味のみを加えるのは大変難しいからです。
ただ、ここで気を付けなければいけないことがあります。一般的なだしの素には塩分が約40%含まれています。つまり、1g のダシの素を加えると、0.4g 分の塩分も一緒に加えてしまうのです。また、白だしに関しても(製品によりますが)約15%の塩分が含まれています。そしてこの15%という塩分濃度は、なんと醤油の塩分濃度とほぼ同じなのです。
よく、ダシの素や液体の白だしを、「塩分を取りすぎる」という理由で悪者みたいに言う方も多いのですが、私はちゃんと理解して使えば問題ないと考えています。塩味のところでも書きましたが、塩分を加えてあげることで味が引き締まるのは事実ですし、一緒に旨味も補えるダシの素や白だしは万能です。ただ、入れすぎるとクドイ味になり、素材の味が一切しない、味の素・白だしの味だけのするツマラナイ料理になってしまいますので、入れすぎは禁物です。これらの簡易ダシには塩分が多く含まれていることを理解して、適切な量を使いましょう。
次回に続く
文字数も多くなってきてしまったため、次の記事で、酸味、甘味、苦味について触れたいと思います。
つづく
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