応用できる味見の考え方②
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妻を笑顔にするための、多忙なビジネスマンの手料理日記。
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まえがき
前回記事(『応用できる味見の考え方 - kotaro7247’s blog』)の続きとして、今回の記事では『苦味』・『酸味』・『甘味』について書きたいと思います。
※ 前回記事もぜひ併せて読んでいただけると幸いです。
『苦味』を考える
味見をしたときの『苦味』というのは、とても対処が難しい問題だと思います。
まずはじめに、苦味は毒があるかないかの存在を判断するための味覚とされています。つまり、苦味のある食べると「危険だ」と知らせるのです。この感覚は子どもの頃の方が強い(苦いと感じる細胞の数が多い)らしく、大人になると苦い食べ物も食べられるようになります。コーヒーやビール、ピーマンやゴーヤを大人が食べれるようになるのは、このためです。
このように、苦味は基本的には毒物を感じさせるため、調味料として苦味を加えるようなものはほとんどありません。料理の最後の段階で、味見をしたとき「苦味が少なくて困った」という経験をした人はいないと思います。逆に、味見をして苦味やエグミが残っていた場合の対処法に困るのではないでしょうか。
苦味は、前回の記事で書いた旨味(ダシ)のときと同じで、食材を調理する最初の段階、特に下ごしらえの際に対処する必要があります。よって、料理の最後の段階では、なかなか挽回するのが難しい味覚です。
唯一考えられる方法としては、甘味を足すという方法があります。これは、コーヒーやココアなど、苦い食べ物や飲み物が、砂糖との相性が良いことから考えての対策です。しかし実際には、残ってしまった苦味に対して、単純に砂糖を入れれば解決する問題でないことも多いので、「苦味だけに苦肉の策」でしかありません。
『酸味』を考える
『酸味』も『苦味』に似た味覚と言えます。
具体的には、酸味は食べものが腐ったときに感じる味覚です。つまり、苦味と同じように「食べてはいけない」と判断するために感じる味覚です。よって、人によって差はありますが、入れすぎてしまうと食べられないものになってしまいます。
実を言うと、私自身も酸味はかなり苦手な味覚で、中学生のころ、大のお酢嫌いであることが友人にバレていた私は、何かのゲームで負ける度に、罰ゲームとして黒酢を飲まされ、それこそ酸っぱい経験をした記憶があります。
酸味を利かせた料理としては、酢の物、酢豚、酸辣湯、甘酢や黒酢のあんかけ系料理、冷やし中華や鳥料理の和え物、ドレッシングなどがあげられます。どの料理も、酸味どくとくの「腐敗」を感じさせる酸味の量より少ない範囲で料理を仕上げる必要があり、この基準が人によって異なるため、一緒に住む家族の方がどの程度までの酸味であれば美味しいと感じるのかを把握しておくと喜ばれると思います。
特に、男性の方が酸味に対して苦手な方が多いらしいので、気を付けてください。
ただし、酸味に関しては弱めることができます。酸味を感じさせる成分は基本的に、揮発性であるため、火を通す、または温めることで酸味が弱まります。もし酸っぱくしすぎてしまった場合には、火にかけるか、電子レンジで温めるなどしてみてください。酸味が弱まると思います。
逆に、料理の途中で酢を入れても最後に酸っぱさが弱まってしまうため、もし酸味を残したければ料理の最後に加えることをお勧めします。
『甘味』を考える
意外かもしれませんが、「『甘味』がもっとも味見において難しく、かつあまり考えなくてもよい味覚だ」と個人的には考えています。
そもそも甘味とは、サトウキビなどから精製された『砂糖』や、果物に含まれる『果糖』、そしてご飯やパンなどの主食など、様々な食材にふくまれる『ブドウ糖』に対して感じる味覚です。
※これら3つ(砂糖、果糖、ブドウ糖)に加えて、最近は人口甘味料なるものが出てきていますが、ここでは割愛します。
科学的には、果糖とブドウ糖がくっついたものが砂糖となります。甘さの順に関しても、一番甘い果糖と、一番甘くないブドウ糖を足すので、砂糖が中間の甘さになります。
果糖 + ブドウ糖 = 砂糖
果糖 > 砂糖 > ブドウ糖
これら糖類の役割は、エネルギー源です。つまり、「あればあるほど体は嬉しいと感じる」ようにできています。
前回の記事で塩味について取り上げました通り、塩分はとりすぎると体内の水分・ミネラルのバランスが取れなくなるため、大量に摂取できないような機能が備わっていますが(前回記事参照)、糖分はエネルギー源なので、食べ過ぎを防止するような機能は備わっていません。つまり、いくらでも食べれてしまうのです。
加えて糖分には、中毒性があることがわかっているそうです。簡単なメカニズムは以下の通りです。
① 糖類を摂取すると、血糖値(血液中の糖分量)が上昇します。
② 血糖値の急上昇を押さえるため、インスリンという物質が分泌され、血糖値が低下、低血糖状態に移行します。
③ 低血糖状態だと、脳が糖分が必要と判断し、「糖類を摂取しろ」と命令を出します。
④ 脳の命令に基づき、糖類を摂取し、①に戻ります。
上記①から④をぐるぐると繰り返すこととなり、中毒から抜けられなくなるそうです。
これは、炭酸飲料にたくさんの糖分が含まれていることにも繋がっていると私は考えています。個人的な考えなので必ずしもそうだとは限りませんが、炭酸飲料を飲めば飲むほど、また炭酸飲料が飲みたくなる原因のひとつに、この糖分の中毒性があるのではないか? と考えます。
さて、では料理においてどのような考え方でこの糖分を取り扱えばよいのでしょうか。
まず、糖分はエネルギー源であり、基本的には加えれば加えるほど「美味しい」と感じるように人間の体はできています。エネルギー源ですので、たくさんとった方が良いと考えるように体ができているわけです。さらに塩とは違い、際限なく加えることができます。
※ 特に和食は、意外にも糖分が多い料理だと感じています。煮物やテリヤキソースには、たくさんの糖分(砂糖)が使われています。外で食べる料理は特に多く含まれていると、感じます。
料理をする過程で、すでにある程度の糖分を加えているのであれば、味見をしたときに多少物足りなさを感じたとしても、砂糖やみりんなどの糖類を加えることはおすすめできません。まずは塩分を疑った方がいいと思います。
前回記事で塩分について記載した通り、塩分は「美味しい」と感じる範囲が狭いので、その範囲にまず塩分濃度を近づけてあげることが大切だからです。
そのうえで、それでも甘さが足りない場合には、甘味を足すようにしましょう。
また私は、できる限り砂糖やみりんを使わずに美味しく作る方法の例として、以下の3点が重要だと考えています。
- 塩分濃度を適正な範囲に収めること
- ダシをしっかりとること
- 食材にもともと含まれるブドウ糖が、しっかり甘く仕上がるように調理してあげること
砂糖に代表される甘味は、もっとも適当に加えても問題ない調味料でもあり、「砂糖を取りすぎず美味しいものを作る」という観点からとても奥の深い味覚だと考えています。
まとめ
2回に分けて、『味覚』、そして『味見(あじみ)』の際の考え方について記載してみました。ぜひ色々と考え方を整理して、家族の方々の苦手・好みまで含めた料理を考え、そして最後のひと手間である味の調整を調理の最後にしていただけましたらと幸いです。
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